医師向けALTA療法/アルタ療法研究発表
大久保雅之院長が、東海地区の医師向けに、ALTA療法/アルタ療法についての研究発表を行いました(名古屋肛門疾患勉強会)。痔核の治療概念は、ALTA療法/アルタ療法の登場によって大きく変化したと思います。これまでの痔の治療法は、薬物療法か手術療法でしたが、低侵襲のジオン注射はこれまで薬物治療を行っていた患者さんもカバーしていると思います。
ALTA療法/アルタ療法とは
ALTA療法/アルタ療法を行う注意点
ALTA療法/アルタ療法は、メスで痔核を切除することなく、ジオン注の注射のみで内痔核を根治させる治療です。その治療効果は驚くほど高いですが、我々外科医が馴染んでいる切除と異なり、注射による結果が判断しづらい一面もあります。注射針を痔核内へすすめる感覚や薬液を注入する抵抗に神経を集中させなくてはなりません。常に見えない結果を考えながら、患者様・痔核の状態に応じた注射量の調整が必要です。注射する感覚や薬液量の微調整は、見たり教えてもらったりでは身に付かず、ある程度経験をつむ必要があります。
ALTA療法/アルタ療法の限界とALTA併用法/アルタ併用法
ALTA療法/アルタ療法は血管成分の多い、内痔核には効果的ですが、血管成分の少ない外痔核成分には効果が不十分となります。ある程度の肛門内外痔核であればALTA療法のみで還納させ治癒も可能ですが、肛門管内外痔核が大きいと再発の原因になります。
血管成分の多い内痔核へのALTA療法/アルタ療法
血管成分の多い、内痔核に注射(ジオン注)を打って血管に炎症を起こして痔核を消退させます。
ALTA併用法/アルタ併用法とは
ALTA療法/アルタ療法では効果不十分な血管成分の少ない外痔核成分には切除や分離結紮を併用するALTA併用法/アルタ併用法にて治療を行います。外痔核成分をしっかり治療することで再発を抑えることが可能です。
内痔核へはALTA。それでも効果不十分な外痔核成分に対しては、その状態を見極め、切除・分離結紮を併用することができます。
いぼ痔(内痔核)の治療概念の変化。広く行われている痔核治療
痔核の治療概念は、ALTA療法/アルタ療法の登場によって大きく変化したと思います。これまでの痔の治療法は、薬物療法か手術療法でしたが、低侵襲のジオン注射はこれまで薬物治療を行っていた患者さんもカバーしていると思います。下記は広く行われているALTA療法/アルタ療法の治療概念。内痔核の多くは切らなくても治るようになりました。
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マイクリニック大久保における痔核治療
上記のように内痔核の多くは切らなくても治るようになりましが、外痔核成分を伴う内外痔核症例ではALTA療法/アルタ療法の効果がいまひとつです。その場合マイクリニック大久保では、ALTA併用法/アルタ併用法で外痔核成分のみの切除か分離結紮を追加する形で、ほとんどの痔核にALTA療法/アルタ療法を適用しています。より低侵襲で根治性のある手術を行っています。
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治療からの気づき
分離結紮について
分離結紮は平成26年の春から導入しましたが、手術後のトラブルはほとんどありません。短時間で終わり、術創も小さく、治ったあとの状態もよく、手ごたえを感じています。
手術症例について
再発率
ゴリガー3度4度の痔核では1か月後に脱出・出血が改善していた症例のうち16%に1年後の再発があるそうです。結紮切除術の2%と比べ高い再発率です。血管成分の少ない外痔核成分が原因と考えます。(下記は製薬会社ご協力の資料になります。)
当院の経験ではALTA療法のみの再発は5%。外痔成分を切除したALTA併用療法の再発はありません。
■対 象:脱出する内痔核(Goligherの内痔核分類Ⅲ・Ⅳ度)で28日後に脱出あるいは排便時出血が消失した症例
■評価時期:1年後
項目 | 非再発 | 再発 | 計 |
ジオン注 | 61(81%) | 12(16%) | 73 |
手術 | 79(98%) | 2(2%) | 81 |
まとめ
ALTA療法/アルタ療法によって、安全な痔の日帰り治療ができるようになりました。ALTA(アルタ)療法では術後の痛みや出血はほとんどなく、治りもきれいです。 あらゆる症例に対して広く適用でき、ひどい症例もALTA療法/アルタ療法を併用することで、入院することなく治療が可能となりました。患者さんの体への負担が少なくすばらしい治療法だと思います。
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